株式会社 酒商山田

利く酒、飲む酒

先週、岡山で開催された中国5県のきき酒競技会に参加してきました。結果は7位。マッツチングに手ごたえがあったので15点、合わせられたかなと思いましたが一つ入れ替えの準パーフェクト。すごいことにパーフェクトが5名もいたのには驚きました。自分以上に準備をして、執念を燃やす人がいるということですね。今回は完敗です。しかし手の届く所にはいるのでまだまだやれると思っています。
競技にはマッチングの2審が30分と、最初の40分の1審があります。1審というのは鑑定官といわれる専門の方が7名、同じ酒をきかれて順位を付けられて、その平均値での順位(標準位)が決まり、その差異が少ない方がいいことになります。今回は競技前に審査部長から「色、吟香に左右されず全体のバランスの良いものを重視する」と今までにない発言がありました。そのためか、上位入賞者も標準位があまりよくなくて自分も大きくはずしたお酒があります。
まず、一番香りの高いものが、その香りは変化して普通ではないということで下位になっており、上位にした自分との差異がかなりありました。同じく吟醸香があるもやや熟し気味のものが、この範囲なら旨いととられたのか上位に。自分としては、最初に鼻、口をつけた時には好印象だが、後になると吟醸くずれ、少しダレているように感じたので下位にしました。前者の方はわかるのですが、後者については解せないところがあります。
標準位の1番のお酒を、自分は真ん中にしています。理由は立ち香ではすこし老香があり、酸を感じたのでこれだけなら下位にといったところなのですが、香りの印象と違って含んでいくとだんだんに、これ飲めるな、というお酒なんです。
この大会は時間的には余裕があるので、数回は口にすることができます。自分が上位にしたお酒は、競技で考えるとクセの少ない無難なタイプです。そういうお酒は時間をかけると、逆に固さやシブを感じたりします。中位にしているお酒に味があって旨いというものが数点ありました。同じ人間がやって同じお酒が変わって感じてくるので、競技中に自信のあるものが消えたり、ない香りを感じたりするとパニックになります。そうならないように心がけるているのは、どんなに酔ってもそのお酒の隠されない一番の特徴を見つけることです。香り、味で自分の一番得意な部分で把握するようにはしていますがなかなか大変な作業です。
利いていいお酒、飲んでおいしいお酒。今回の大会はその境目というか、時間をかけて飲むことで見えてくるお酒の良さが少し垣間見えたように感じました。きき酒の時はどちらかというと欠点を探しにいってます。飲む時は、このお酒はきっとおいしいぞ、という先入観で楽しみたいものです。
今回のお酒は、岡山県の市販の純米酒15点でした。基本的にはおいしいと思って接していますので失礼なコメントは申し訳ありません。いろいろ勉強させていただきありがとうございました。