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宝剣 涼香吟醸

先週の事、宝剣の涼香吟醸を飲む機会がありました。6月の発売当初に比べて、少し固さの取れた穏やかな印象、香味には落ち着きがあり続けて飲むことのできるお酒です。驚いたのは日本酒度が+11とのこと。当たりにやわらかさがあるのと、ほのかに感じる甘さから、とてもそのようなお酒に思いませんでした。土井さんが言われるにはこの「甘み」がポイントなのだそうです。厚みがありながらきれいな味わい、この酒質の設計通りにするには、夏の涼吟は仕込みのむつかしいお酒とのことです。一般的にイメージする夏の吟醸とは一線を画すタイプですが、「宝剣」らしいいいお酒だと思います。

宝剣酒造さんは今期の仕込みの前に、仕込み蔵を大きく変えられました。土井さんの技術と相まって酒質に十分反映されていると思います。そして今期もまた設備投資をして改良していくとのことでした。あくなき品質向上への姿勢、これからまたどのようなお酒になるのか、来期も追っかけの楽しみができました。

 

鑑評会出品酒

4月の初めのこと、ある広島県の蔵元さんが出品酒(全国新酒鑑評会用)をきき酒してもらいたい、と3点のお酒をもってご来店されました。「どれがいいと思われますか」と杜氏さん、“はて困った最近出品酒になじみはないよなあ” と思いながら始めてみました。どれもいいお酒で含んでから芳香が広がり華やかな世界を作ります。味わいはふくらみのある旨さというか、甘味があり芳醇な印象。一番きれいに流れるものが良い、と選択したのですが、鑑定官の方々の評価が良かったのは、まさかの少し色も濃いそうに見えた最も味のあるタイプだそうで、これが最近の金賞酒の傾向なのだそうです。最初に口中で甘味を感じるものが良いらしく、香り対しての味のバランスをとるとこうなるのでしょうか。確かに旨いですし、きき酒ではなく飲みこんでしまいたくなります。この傾向で特徴を出していくことでお酒は年々少しずつ濃くなってきたようです。逆にいくと薄いととられて、濃醇なタイプの間に挟まれると不利になってしまうようです。

私の嗜好は、香味のふくらんだあとのきれいな流れと余韻を持つもの。行き着くところまで行ったら、軽快なものへという流れに戻ってくるんじゃないか、と秘かに思っています。

ところで、今回のお酒は、今春正式デビューの広島のもみじ酵母を使ったとのこと。この酵母のことはまたお話しするとして、広島県の切り札登場でこのお酒が金賞受賞となるように切に願っています。

雨後の月

雨後の月「涼風吟醸」が入荷しました。昨年は暑い夏の途中で品切れとなった人気商品です。涼、という名前のイメージにぴったりの爽快でするする入ってくるお酒、味わいはすっきりとしてきりっと締まった感じ、後口に感じる華のある芳香で余韻を残すのが雨後の月らしさです。
一方、現在販売中の「ブラックムーン」は口に入ってくる初っぱなから華やかな部分が強調されるお酒。甘く高級感のある果実香が、旨さと一体になってふくらんでいきます。先日の目利き会では、「愛山」を先行試飲することができました。香りは酸を感じる飲み込んでしまいたい衝動に駆られる、程よく熟れた果実の香り。「お米のパワーを感じるお酒」と相原社長の言われるように、旨味があり酸もバランスよくとても魅力的なお酒でした。発売はもう少し先ですが、若さのとれた完成型になった時が楽しみです。
商品それぞれにコンセプトを持つ雨後の月、飲み比べは楽しいひとときす。

賀茂金秀 桜吹雪

まずはうれしい話題から。金光酒造さんの桜吹雪が、先週行われた広島県清酒品評会の千本錦を使用した大吟醸の部で金賞(1位)に選ばれました。おめでとうございます。一昨年にも受賞されており、安定した高い技術の評価されたこと、金光さんは大変喜んでおられれました。また私達も自信をもっておすすめしていきたいと思います。
賀茂金秀ブランドでの今期の話題は、純米吟醸の雄町米に赤磐雄町を導入されたことです。それも特等米の赤磐雄町100%使用で1本仕込まれました。定番の純米吟醸の麹米にもこちらを使用(掛米は広島雄町)されています。蔵にお伺いした時にも力が入ってましたが、先週目利き会の折にも飲み比べてみてくださいとすすめられました。共に昨年以上にいいお酒です。金光さん曰く、赤磐の方が丸みのあるお酒との評価をされていました。好みの違いはあるとは思いますが、長く舌の上で味わったときにその味の持続、余韻が若干感じられるかなといった印象でした。すぐには出さないで火入れして秋に出荷とのことで、どんなお酒になっていくのか、真価は秋にどう発揮されるのか楽しみです。(無理をお願いして生を少しだけとってもらっています、現在販売中です)。

豊盃

文庫本を読んでいたらこんな一節が、
・・・・考えていると、次第に緊張してきたので、キャベツ刻みを中断して、酒屋の立ち呑み台で日本酒を飲む。主人の勧めで、弘前の地酒「豊盃」を二杯。まろやかでうまい。
この本は宮本輝著、「骸骨ビルの庭」の下巻。かなり後半部分での一節で、物語が終結を迎える前の、主人公がさまざまな心の葛藤をするなかでの、ほっとするひとときにお酒が登場しています。別の作品でも日本酒が登場していましたが、「備中の地酒」とだけでしたから、銘柄が特定されているのに驚きました。舞台は大阪十三駅前、時代は平成6年5月、その当時にあ
ったかはともかく、作品が書かれたのが平成20年頃なので、著者がその頃飲まれてとても印象に残ったお酒なのかもしれません。主人公が日記をつけていたことをベースに話が展開していくので、とても簡単なお酒の感想ですが的を射ていると思います。火入れの特別純米でしょうか。
現在販売中の、純米吟醸「華想い」は香りに華やかさ、若さがあります。味わいきれいめですが酸が心地良く効いているので、こちらはさわやかにうまい、でしょうか。

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